8時間半をどう使うか
ModCon 2026は、2026年8月18日にサンフランシスコで開催されます。公式案内では受付が7:30から始まり、夕方のレセプションまで含めて20:00頃まで続く、1日集中型のイベントです。参加枠は300名以上とされています。(modular.com)
数字だけを見ると、時間は十分に見えます。しかし、基調講演、ライブデモ、ワークショップ、オープンモデル関連のパネルをすべて追おうとすると、手元の開発課題と結び付かない情報だけが増える可能性があります。ModCon 2026参加準備で重要なのは、会場で多くの話を聞くことではなく、終了後に「自分の環境で再現すべき仮説」を3つから5つ残すことです。
まず、現在のモデル、推論遅延、利用中のアクセラレーター、移行時の障害を1枚に整理してください。その準備がないと、Unified AI Compute Layer、The AI Cloud、Open Season for Open Modelsといった大きなテーマを聞いても、自社の課題に対する答えかどうかを判断しにくくなります。
参加対象と確認したい課題
ModCon 2026は、AIシステムを開発、運用、拡張する開発者、研究者、技術リーダーを対象にしています。公式ページでは、異なるハードウェアをまたぐ統合計算基盤、実践型セッション、ライブデモが主な見どころとして紹介されています。(modular.com)
特に次のような課題があるチームは、参加前に検証項目を作る価値があります。
- GPUやApple siliconなど、異なるハードウェア向けの実装を個別に保守している
- 推論サーバー、モデル変換、カスタムカーネル、監視基盤が分断している
- オープンモデルを導入したいが、ライセンスや商用利用条件を確認できていない
- モデルのベンチマーク結果はあるものの、実際の同時実行数やメモリ使用量が分からない
- 新しい開発ツールを試したいが、既存のPythonコードやCI/CDに組み込めるか不明である
一方、単に最新発表を知りたいだけで、検証対象のモデルも遅延目標も決まっていない場合は、現場で得られる情報を選別しにくいです。参加登録前ではなく、参加前の数日間で「何が改善すれば導入候補になるのか」を決めておくと、質問の質が変わります。
一日の議程設計
4つの目的
ModCon 2026の議程の選び方は、セッション名の派手さではなく、チームの検証目的から逆算します。現在公開されている公式案内では、登録、基調講演、パネル、技術的な深掘り、午後のコーディングチャレンジやガイド付きワークショップが案内されていますが、登壇者の全リストは今後発表予定です。(modular.com)
| 参加目的 | 優先して見るテーマ | 現場で残す記録 |
|---|---|---|
| 推論基盤の整理 | Unified AI Compute Layer、The AI Cloud | 対応ハードウェア、実行モデル、運用境界 |
| モデル導入 | Open Season for Open Models、オープンモデルパネル | ライセンス、量子化、商用利用、更新方針 |
| カーネル最適化 | Mojo GPUプログラミングワークショップ | コード構造、デバッグ方法、移植の難所 |
| 技術選定 | ライブデモ、導入事例、性能説明 | 比較条件、入力サイズ、遅延、再現手順 |
朝の基調講演では、発表内容をそのまま導入判断に使わず、「新しく増えた選択肢」を把握することに集中します。午後の実習では、自分の作業環境で再現できるコードやコマンドを一つ持ち帰ることを優先してください。
公式ページは、会場、受付時間、実践セッションの更新が入る可能性があります。参加直前には必ずModCon 2026公式ページで議程と登壇者の変更を確認し、同じ時間帯の候補を2つ用意しておくと安心です。会場はGrand Hyatt San Franciscoで、SFOから市内までの移動時間や入場手続きも一日の計画に含める必要があります。(modular.com)
持参するワークロードと基準値
現場で紹介された速度向上を自社へ置き換えるには、最低限の基準値が必要です。次の項目を、表計算シートやテキストファイルに記録しておきます。
- 使用中のモデル名、パラメーター規模、量子化方式
- 入力トークン数、出力トークン数、代表的なバッチサイズ
- 平均遅延、P95またはP99遅延、1秒あたりの処理量
- 使用中のハードウェア、メモリ容量、ドライバーやランタイムの版
- 現在の推論方式と、変更できない依存関係
- 移行に許容できる開発期間と、性能低下を許容できる範囲
例えば「2倍速くなるか」ではなく、「入力8,000トークン、出力512トークン、同時実行16件でP95を現在の値から20%改善できるか」と書き換えます。イベントのデモ条件が自社と異なる場合でも、比較すべき差分を具体的に指摘できます。
現行の開発環境がMacの場合は、Apple silicon上でのコンパイル時間、GPUメモリの余裕、ローカル実行時の再現性も記録してください。公式発表では、26.1でApple silicon GPUへの対応範囲を拡張し、簡単なMAXグラフやGPUパズルを実行できるようにしたと説明されています。(modular.com)
Mojo GPUワークショップの準備
Mojo GPUプログラミングワークショップでは、未経験者向けの説明だけを待つより、短いコードを事前に読んでおく方が成果を得やすくなります。Mojo GPUプログラミングワークショップの準備として、次の順番で環境を整えてください。
- 公式ドキュメントからインストール方法と対応環境を確認する
- Pythonで書かれた行列演算やテンソル処理の短い例を1つ選ぶ
- CPU実行とGPU実行で、結果が一致する条件を確認する
- コンパイル時間、実行時間、メモリ使用量を記録する
- カーネルを変更した場合、どの数値が変わるかを決める
事前学習では、言語仕様をすべて覚える必要はありません。配列のレイアウト、メモリアクセス、スレッド分割、型安全性、コンパイル時最適化の5項目を理解しておくと、講師の説明を実装上の判断に結び付けやすくなります。
公式発表では、Mojo 26.2にAIコーディング支援向けの機能が追加され、CUDAやTritonのカーネルをMojoへ移すための支援も進めていると説明されています。(modular.com) ただし、移植できることと、本番環境で保守しやすいことは別です。ワークショップでは「自動変換後に人が確認すべき部分」を質問してください。
オープンモデルパネルの質問
オープンモデルパネルの質問リストは、性能だけでなく、利用条件と運用責任を含めて作成します。Open Season for Open Modelsという表現が使われていても、「オープン」が重み、データ、コード、商用利用条件のどこまでを指すのかは個別に確認する必要があります。
| 確認領域 | その場で聞く質問 | 会後に検証する内容 |
|---|---|---|
| ライセンス | 商用サービス、再配布、追加学習に制限はありますか | 法務確認と利用規約の保存 |
| ハードウェア | どのアクセラレーターとメモリ構成で検証しましたか | 自社環境での再測定 |
| 推論性能 | 入力長、出力長、バッチ、量子化方式は何ですか | 同一条件でのP50・P95比較 |
| 更新管理 | 破壊的変更、重み更新、脆弱性対応はどう通知されますか | 更新前後の回帰試験 |
| 観測性 | トークン数、キュー待ち、GPU使用率を取得できますか | ダッシュボードとアラートの設計 |
特に重要なのは、モデルのサイズだけで判断しないことです。コンテキスト長、KVキャッシュ、同時実行数、入出力比率によって必要なメモリと実効速度は変わります。「何Bモデルか」だけを聞くのではなく、「本番に近い負荷で、どの指標を公開できるか」と質問してください。
現場デモの読み取り
ライブデモでは、画面に表示された速度を撮影するだけでは不十分です。次の5項目を同じメモ欄に記録します。
- 使用モデルと版
- 入力および出力の条件
- バッチサイズと同時実行数
- ハードウェアとソフトウェアの版
- 比較対象と測定範囲
公式発表の性能値も、測定条件が異なれば自社の結果にはなりません。例えば26.2の画像生成発表では、解像度ごとに速度比較が示され、1024×1024、1360×768、768×1360で異なる倍率が記載されています。(modular.com) このように、単一の「最大倍率」ではなく、入力条件ごとの結果を見ることが重要です。
また、発表された機能、限定されたデモ、一般公開済みの機能を分けて記録してください。会場で紹介された内容が、すぐに利用できるのか、申請が必要なのか、今後の予定なのかを区別しないと、会後の計画が不正確になります。
ZovCloud向け検証テンプレート
大会情報を自社の開発作業へ結び付けるには、次の形式で検証表を作ります。ZovCloudの利用を検討する場合も、まずはサービス紹介を読むだけで終わらせず、実際の開発、構築、テスト工程にどこを組み込むかを明確にしてください。
| 検証項目 | 現在の環境 | 確認したい改善点 | 合格条件 |
|---|---|---|---|
| 開発 | 手元のMacまたは既存環境 | セットアップ時間と再現性 | 新規環境で手順を再実行できる |
| ビルド | ローカルまたはCI/CD | ビルド待ち時間と依存関係 | 同じ成果物を生成できる |
| AI推論 | 手元のGPUまたは既存サーバー | 遅延、メモリ、同時実行 | 事前に決めた基準値を満たす |
| テスト | 開発者ごとに異なる環境 | OS・ランタイム差分 | チーム内で結果を比較できる |
Macを使った開発フローやAIコーディングツールの評価方法を整理したい場合は、AI開発ツールの比較記事も、事前チェック項目を作る際の補助になります。利用可能な環境や契約条件は、実際に使う時点でZovCloudの料金案内を確認してください。
会後の技術振り返り
AIカンファレンス参加後の技術振り返りは、感想文を書く作業ではありません。発表を「採用候補」「追加調査」「見送り」の3つに分け、各項目に再現可能なタスクを付けます。
- 当日撮影した資料と公式発表を照合する
- 発表内容を、事実、主張、未確認事項に分ける
- 自社の基準値と比較できる最小構成を作る
- 既存方式と同じ入力条件でベンチマークする
- ライセンス、運用、監視、障害対応を確認する
- 開発者1名の試用で終わらせず、レビュー担当を置く
- 1週間以内に継続検証か見送りかを決定する
公式情報では、26.3でMojo 1.0のベータ版、MAXにおける動画生成、分散を意識したテンソル機能などが紹介されています。(modular.com) こうした更新を見た場合も、「使えそう」という印象ではなく、既存モデルを一つ選び、移植時間、性能、障害時の切り戻しを測定する課題へ変換します。
議程を全部見られなかった場合はどうしますか。
録画や資料を後から確認する前提で、現地では実習、質疑応答、デモ条件の確認を優先します。特に自社の設計判断に直結する質問は、後から検索するより、その場で前提条件を聞いた方が早く解決できます。
Mojo GPUプログラミングワークショップに未経験で参加しても問題ありませんか。
問題ありません。ただし、PythonまたはGPU処理の短いコードを1つ持参し、処理時間と期待する出力を決めておくと、説明を聞くだけでなく、どこを自分のコードへ応用できるか判断しやすくなります。
AI大会参会後にチームへ何を共有すべきですか。
新機能の一覧ではなく、「自社で再現する条件」「必要な作業時間」「導入を止めるリスク」を共有してください。技術レビューでは、発表資料のスクリーンショットより、基準値、測定条件、次の担当者と期限が役立ちます。
既存環境からMac開発環境へ
既存のWindowsやLinux環境、あるいは個人のローカルマシンだけで検証を続けると、開発者ごとのライブラリ差分、GPUの空き時間、電力や冷却、共有アカウントの権限管理が障害になりやすくなります。高性能な機材を購入しても、利用者が増えた時の割り当てや、検証終了後の環境再現まで別途設計しなければなりません。
一方、Macを手元に用意する方式にも、初期費用、保守、OS更新、利用期間終了後の機材管理という負担があります。短期のModCon 2026後検証であれば、必要な期間だけ開発・ビルド・テスト環境を確保し、チームで手順を共有できる方が合理的な場合があります。
ZovCloudのMacレンタルを使う場合は、プロジェクトの期間、必要な接続方法、ビルドやテストの分担を先に整理してください。料金や利用条件はZovCloudの注文ページで確認し、ModCon 2026で得た検証課題を、そのまま再現できるタスクへ落とし込むのが現実的です。大会の一日を情報収集で終わらせず、比較可能なベンチマークと期限付きの試用計画に変えられるかが、参加成果を分けます。